プルースト、美術批評と横断線

出版时间:2014-1-15  出版社:左右社  作者:荒原 邦博  

内容概要

絵画が言語の形を取って小説のテクストを横切って行く――。
美術批評家たり得なかったプルーストの批評的言説、そこに引かれた幾本もの〈横断線〉の働きを解き明かすとき、テクストは新たな相貌を見せはじめる。
ドゥルーズの概念を作家の実存的な帰結として捉えなおす、プルースト研究の俊英による刺激的論考!

书籍目录

〈目次〉
序章
絵画と横断線  プルーストと絵画の問題はどう論じられてきたか
第1章
「ゲルマント家の夕食会」における絵画の挿話の生成過程
序 「ゲルマント家の夕食会」と草稿資料
1 コレクションの鑑賞と公爵夫人の言説(「カイエ41」表)
2 公爵の見解(「カイエ41」裏)
3 ゾラとマネの萌芽(「カイエ43」)
4 エルスチール・コレクションの発展(清書原稿N.a.fr.16705)
5 ゾラの重点化と公爵夫人の見解の推移(清書原稿N.a.fr.16706)
6 公爵夫人の言説の展開(清書原稿N.a.fr.16707)
結 生成過程における五つの変化
第2章
マネをめぐる社交界の会話とその美学的問題  『ゲルマントのほう』における美術批評(1)
序 マネの絵画、あるいは美術批評としての社交界の会話
1 美術批評家ゾラの「肖像」:マネと印象派をめぐる弁護と逡巡
2 主題、あるいは「絵画の自律」としての静物画の誕生
3 「仕上げ」不在の絵画
4 《ミス・サクリパン》:ブランシュ「マネに関するノート」(一九一二)の余白に
5 マネと近代美術館の誕生:リュクサンブール美術館とベルリン・ナショナル・ギャラリー
6 ルーヴルに入った《オランピア》、あるいは新たな源泉としてのゾラ「絵画」(一八九六)
7 古典的な画家、マネ
結 マネの絵画、あるいは鑑賞者の位置
第3章
十九世紀後半におけるルーヴルの文学的表象と美術館の概念  ゾラ・プルースト・美術館
序 文学テクストと美術館、あるいはアドルノと二つのルーヴル
1 美術館の中心
2 中心から周縁へ、あるいは新たな資料体としての一八九五年の二つの芸術雑誌
3 商業的価値の隠蔽
4 美術館における/の死
5 ルーヴルの変貌
結 ヴァレリー・プルースト・美術館、あるいはプルーストと二つのルーヴル
第4章
モローをめぐる社交界の「さかしま」な言説とその美学・科学・制度的問題  『ゲルマントのほう』における美術批評(2)
序 斬首の光景
1 純潔と悪徳
2 男性・女性
3 詩人の表象と性的倒錯の概念
4 さかしまなセイレン、あるいは新たな源泉としてのユイスマンス『さかしま』と「ゴブラン」(一九〇一)
5 神秘の小鳥と個人美術館の誕生
結 ヴィジョン・キャピタル
第5章
ドガの美学・政治学的問題と世紀転換期の絵画「理論」  ドガ・ダンス・プッサン
序 ヴァレリーのドガからプルーストのドガへ
1 肉体と色彩:ユイスマンスにおけるドガのダンス
2 ダンス・蒸気船・競馬
3 ドガ・ダンス・デッサン:ブランシュ「現代絵画に関するノート」(一九一三)の余白に
4 「美術」と「国家」の分離:第三共和政におけるローマの「美術」
5 ドガ・ドニ・プッサン、あるいは新たな源泉としてのドニ『理論集』(一九一二)
結 「理論」から「生」へ、あるいは不断の生成としての美術史
終章
世紀と横断線、あるいは不断の生成
あとがき
図版一覧/参考文献一覧/註

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