おかあさんのばか

出版时间:2004-7  出版社:窓社  作者:細江英公  
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内容概要

お母さんを脳出血で亡くした小学生の古田幸(みゆき)ちゃん。学校の先生をしているお父さんと中学生のお兄ちゃんとの三人の生活が始まりました。一家で唯一の女手となった幸ちゃんは、「おかあさんのかわりに うちの中を 明るくしなくちゃと思う」のです。そんな幸ちゃんが日々の生活を綴った詩の数々と、幸ちゃん自身の姿を撮った写真とをあわせて紡いだ写真集が出来ました。今から40年以上も昔、昭和39年のことです。
幸ちゃんが幼い自分を残して逝ってしまった母親に対して「おかあさんのばか」と言葉の礫(つぶて)を投げつける表題作をはじめ、どれもがやりきれないほどの淋しさを刻みこんだ詩編ばかりです。それでいて自棄になるということはありません。というよりもそんな暇(いとま)は幸ちゃんにはありません。彼女のこの上ないほどの健気さが迫ってきて、目頭が熱くなります。
昭和39年の冬は幼い少女にとって今よりも一層寒さの厳しい季節だったことでしょう。モノクロの写真に写しこまれている風景は、お湯用の蛇口が存在しない炊事場、火鉢にかざす両手、庭先で七輪の火の具合を覗き込む幸ちゃん、といった具合に、母の温もりを失った少女にとっては今まで以上にこたえたであろう冷え冷えとしたものです。
ですがこの写真集では、前半でこそ心模様を顔に映すことを拒絶したかのように無表情であった幸ちゃんも、後半では父と兄とともに少しずつ笑顔を取り戻していくのです。最後の一葉は、満面の笑顔を浮かべながら裸足で元気いっぱい野を駆ける幸ちゃんです。

作者简介

細江 英公(ほそえ えいこう 1933年3月18日 - )は日本の写真家。
山形県米沢市に生れ、東京で育つ。1951年に富士フイルム主催の「富士フォトコンテスト」学生の部で最高賞を受賞する。翌年、19歳で東京写真短期大学(現 東京工芸大学)に入学。評論家の福島辰夫は、土門拳らのリアリズム派にない彼の人間味に注目。美術家瑛九と交流を深め、既成概念に挑む作家の精神を受け継ぐ。1954年同大卒業。福島の主宰する「十人の眼」展に参加。その後写真家集団「VIVO」をともに立ち上げる。三島由紀夫の裸体写真集「薔薇刑」や秋田の農村を舞台に舞踊家の土方巽をモデルにした「鎌鼬」を発表。2003年9月18日、英国王立写真協会の記念式典で「生涯にわたり写真芸術に多大な貢献をした写真家」として特別勲章を授与された。2010年10月には文化功労者に選出された。息子の細江賢治も同じく写真家。

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