中国古代の社会と黄河

出版时间:2009  出版社:早稲田大学出版部  作者:濱川栄  
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内容概要

中国の象徴とも言える、黄河。幾多の災害をもたらす一方、その泥砂で華北に大平原を形成してきたこの大河は、中国古代の歴史といかなる関わりをもっていたのであろうか。本書は古くて新しいこの問題について多角的に再検討し、新たな理解を示したものである。本書は、古代の華北における大規模灌漑施設の不可欠性を根拠に皇帝専制体制成立の必然性を説く従来の通説を否定する。その上で本書があらためて注目するのは、黄河がつくり出した大平原そのものの意義である。一望千里のこの大平原は、周辺山間部から多様な人間集団を招き寄せ、活発な人的・物的交流を促す空間であった。そこに生じる幾多の利害対立を調整するために、強力な政治権力が希求されていく。秦・漢統一王朝の成立はその帰結であった。しかし、黄河の水害自体、さまざまな利害の対立を引き起こす重大な要因となる。以後の中国諸王朝は、黄河の治水という極めて解決困難な重荷を背負わされ続けるのである。

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