出版社:法政大学出版局 作者:斎藤 繁雄
内容概要
デイヴィッド・ヒュームは青少年時代きわめて厳格なカルヴィニズム的長老派の敬虔な信者であった。ヒュームほどこれまで放恣な曲解を受けてきた哲学者は他に例がないと思われる。それは一つには、彼の活躍した時代が、ある意味ではヨーロッパ思想史における一大「危機」、すなわち一大「転換期」だったからである。そしてその「危機」を産み出したものは主として宗教問題であった。要約していえばルネッサンス、宗教改革、反宗教改革、近代科学というさまざまな近世以来の思想的、宗教的伝統や潮流がヨーロッパ主要国の政治、文化、経済の興亡と絡みあいつつ一つの転換期を迎えた時代であった。そしてその中心的課題は宗教問題であった。端的にいえば「神」の問題であり、「神」との関連における「人間」と、さらに「人間」の「あるべき姿」、つまり「道徳」の問題であった。本書では、以上の観点から「ヒュームにおける神の問題」に集中して論考を進めた。
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