出版时间:2005/10/7 出版社:文藝春秋 作者:中丸 美繪
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内容概要
実の父を知らないという出生の秘密、「女の一生」の誕生をめぐる劇作家森本薫の書簡、GHQの恋人が明かした終戦直後の恋、文学座分裂の裏側、三島由紀夫、福田恆存との確執、啓への執念…丹念な取材で初めて明らかになった名女優杉村春子の知られざる“女の一生”。戦後の演劇界を揺るがした事件の真相に迫る。
2005年秋、フジテレビ「女の一代記」シリーズで、女優米倉涼子によって、稀代の女優杉村春子が演じられた。
杉村はまだ女性の社会的立場が弱かった時代に、女優となり70年にわたって演じ続けた。彼女の生涯を書くにあたって、私は6年の歳月を要したが、彼女の知られざる前半生について証言してくれた人々は、単行本が文庫になったときには、多くが亡くなられていた。
単行本のために、取材に東奔西走していた頃が、生身の杉村を知る最後のチャンスだったのかもしれない。直接に杉村を知り、いっしょに演じた関係者と出会い、貴重な証言を得られた幸運を心底有難いと思う。
杉村の生涯は女優という「魔」にとりつかれた一生だった。
いまや日本の演劇界、映画界、芸能界はかつてのそれでなく、俳優たちの成り立ちも質も激変した。杉村は伝説の女優となっていくだろうが、そのときこの本が、稀有な女優の生きた道その時代の演劇界を伝える一助となればと考える。
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