ゲルマニウムの夜

出版时间:1998  出版社:文藝春秋  作者:花村萬月  

内容概要

両親に捨てられ、修道院兼教護院で育った青年、朧。
特殊な生い立ちから俗世間との間に大きな断絶のあった彼は、学校や家庭で押し付けられる価値観に縛られてはいない。しかし教会の矛盾を目の当たりにして育った為に、神の教えにすがる事も出来なかった。結局、彼に残された道は、自らの判断基準で世界を手探りする事しかなかった。
純粋な壊れ者である彼が、社会や人間や善悪などを知る為の触角は、神をも恐れぬ理論と、無慈悲に繰り出される拳、そしてためらいも無く欲望を放射するペニスだった。彼は一度社会へ出たが、殺人を犯し、その罪を逃れるために再び教護院に逃げ帰る。友人を殴って怪我を負わせ、修道女を犯し、神父の前で神を冒涜し宗教の欺瞞を暴く。そしてそれらをなんら悔いる事が無い。しかし誰が何と言って彼を止める事が出来るのか。そも善悪とは?神とは?人間とは?――何なのだろう。

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